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カメラ基礎講座

一眼レフの一味違った撮影方法長時間露光で撮影をしてみよう!

エイペックスレンタルズ編集部

皆さん、下の写真をご覧ください。

イルミネーションがとても綺麗なので、せっかくだから他の通行人に邪魔されない夜中に撮りに……いえいえ、実は撮影したのは20時頃で、撮影をした時にはまだこれだけ多くの人が歩いていました。

カメラの前をたくさんの人が行き来していても、歩いている人が消えてしまう。
これは特別なアプリを使用した訳ではなく、「シャッタースピード」というカメラの基本性能を応用して撮影した写真です。
デジタル一眼レフやミラーレス一眼等、マニュアル設定ができるカメラならば入門機からでも撮影できます。
最近ではデジタル一眼レフやミラーレス一眼を使う方もたくさんいるかと思いますが、良いカメラを使っていても実はオートで撮影をしているだけという方も意外と多いのではないでしょうか??

そこで今回は、特別なアプリを使わなくてもカメラのシャッタースピードを調整して撮れる意外な撮影方法「長時間露光」について弊社のレンタル商品「CANON EOS80D 18-135mmレンズセット」を使ってご紹介したいと思います。

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長時間露光とは?

長時間露光撮影とは、シャッタースピードを遅く (シャッターが開いている時間を長く)して撮影する方法です。 デジタルカメラは、シャッターが開いた時にレンズから入ってきた光の情報を、本体内のセンサーと画像処理エンジンを経由して画像データとして記録をする仕組みになっています。

シャッタースピードが早い写真はシャッターボタンを押した一瞬の光景(情報)だけを受け取って写真にしています。シャッター音がカシャッ!と切れのいい音をしている時は比較的早いシャッタースピードになります。動きのあるものを撮る時や、手振れしたくない写真を撮る時にはシャッタースピードを早めに設定して撮る事で、被写体をはっきりと写す事が出来ます。

一方で、シャッタースピードが遅いとどうでしょう。シャッター音がカッ…シャンとゆっくり聞こえる時は、その間ずっとシャッターが開いている事になります。シャッターが開いている間は、常にレンズから入ってきた光景(情報)をセンサーが受け続ける事になります。手振れしている写真や、被写体がブレている写真は、シャッタースピードが遅い為、シャッターが開いている間にカメラ本体が動いてしまったり、被写体が動いてしまって、その動きがブレ(残像)として記録されてしまっているからなのです。

そう考えると、シャッタースピードが遅いというのはあまりいいイメージがないですね。しかし、それを逆手にとる事で良い写真を撮ることもできるのです!
※シャッタースピードや露出についての詳細はこちらのブログをご参考ください。

絞りとシャッタースピードについて(旧ブログに飛びます)

設定方法の確認

では、さっそく80Dを使って長時間露光の設定の仕方を確認しましょう。
まずは、モードダイヤルを使用して撮影モードを選択します。
このような一眼カメラでは、様々な撮影モードを選ぶ事が出来ますが、今回はシャッタースピードを調整して撮影を行っていく為、シャッタースピードを自分で調整できるモードを選ぶ必要があります。
シャッタースピードの調整ができるモードはM(マニュアル露出)モードTv(シャッター優先AE)モードB(バルブ撮影)モードのいずれかとなります。

※最近の機種だとシャッター優先はSモードになっている場合があります

Mモードを選べば、シャッタースピードだけではなく絞りやISO感度等露出に関する全てを自分で調整する事が可能です。(シャッタースピードは最長30秒まで開けます)

Tvモード(Sモード)ではシャッタースピードとISO感度を自分で調整可能で、絞りは自動で設定されます。(シャッタースピードは最長30秒まで開けます)

Bモードでは自分がシャッターボタンを押し続けている間は常にシャッターが開きっぱなしという撮影ができます。

今回は、一番簡単にシャッタースピードを調整して撮れるモードとしてTvモード(Sモード)を使って撮影をしたいと思います。
※メーカーや機種が変わった場合でも基本的にはどのカメラも同様の機能が備わっています。

ではまず、ダイヤルをTvモード(Sモード)にして、シャッタースピードを設定してみましょう。
液晶画面の右横にある「Q」ボタンを押して、メニュー画面から設定すると分かりやすいです。
今回は長時間露光で撮影するので、シャッタースピードを思い切って30秒に設定してみましょう。
数値が「30″」が30秒の表記です。
続いて、ISO感度を設定します。
オートでも撮影可能ですが、オートの場合自動的に高い数値になってしまう事がある為、ノイズが極力乗らないように低めの数値でちょうど良い明るさを自分で設定しましょう。

また、長時間露光撮影では三脚を使ってカメラを固定して撮影しないとブレてしまいます。
三脚がない場合は、安定して設置できる場所にカメラを置いて撮影しましょう。
この時、手振れ補正機能はOFFにしておきましょう。
※手ぶれ補正機能は、三脚使用時には逆に誤作動する事があります。

これで撮影の準備は整いました。
あとは構図を決めて、被写体を撮りながら思う通りの写真が撮れるように微調整をしながら撮影をしていけばOKです。
シャッタースピードやISO感度は必要に応じて数値を変更しても構いません。

ではここで、冒頭で紹介した2枚を使って長時間露光写真とオートで撮った写真を見比べてみましょう。

Bの写真はオートで撮影した写真になります。シャッタースピードは1/40秒で記録されました。
レンズから入ってくる光を1/40秒という一瞬のみ記録しているのですね。
光量が足りない分はISO感度で明るさを補完しています。※ISO5000
当然1/40秒の間にカメラの前にあるものは全てはっきりと映り込んでしまうので、通行人も写り込んでしまっています。

一方、Aの写真はというと、Tvモードでシャッタースピードを30秒(30秒間シャッターを開く)で撮影した写真になります。
30秒かけて記録すると言う事は、一度にレンズから入ってくる光の量を少なくして、30秒間じわりじわりと記録しながら写真を生成している事になります。
30秒の間には当然多くの人がカメラの前を通っています。しかし、30秒の間で人が横切るのはほんの一瞬です。
その為、一瞬横切るだけの通行人は、実際には写っているはずなのですが、通り過ぎた一瞬よりも、常にその場にある背景の方が光の情報として強く残る為、結果として上書きされて消えてしまったように見えるのです。

※長時間露光中のイメージ映像※

※長時間露光中の様子をイメージしやすいよう作成したものです。
実際の露光中の様子を記録したものではございません。

ただし、その場に長く留まるものがあると写りこんでしまうので、途中で立ち止まる通行人がいると、このように中途半端に写り込んでしまう事があるので気をつけましょう。

もちろん周りに人がいなければわざわざ長時間露光をしなくても通常の撮影でも十分撮れるかと思います。
しかし、人がよく通る場所で景色を撮影する時には、中々シャッターチャンスがつかめない時もあるかと思います。
また、夜のように暗い場所での撮影では、通常はISO感度を上げて撮影する事が多いかと思います。
ISO感度を上げるとノイズが乗りやすくなってしまいますが、長時間露光では十分な時間をかけて光を取り込む為、低いISO感度のまま撮影ができます。その結果ノイズの少ない綺麗な写真が撮れます。
また、光の写り方も早いシャッタースピードで撮るより少し柔らかな印象で記録されます。

撮影前に要確認!

もちろん長時間露光には良い事だけではなく注意しなくてはいけない事もあります。

シャッターを押した振動でブレる可能性があるので注意しましょう。(リモコンやタイマーを使うと回避できます。)

あまりにも長い時間露光しているとセンサーが熱を持ってノイズが発生しやすくなります。
【長秒時露光のノイズ低減】をONにしておくとノイズが軽減されます。
人があまりにも多いところでは、人の姿が完全に消えずに少しモヤっとした仕上がりになったり、どこかに薄く写り込みが残ってしまう事があります。

風の強い日には動きやすいもの(木や旗等)がブレて写ってしまいます。
夜間の撮影では、付属のレンズのみで十分撮影できますが、昼間に長時間露光をすると明るすぎて真っ白になってしまうので、NDフィルター(光量を落として暗くするフィルター)が必要です。
写真の撮影方法はシチュエーションによって色々あるかと思いますが、一つの技法として覚えておくと便利ですよ!

長時間露光は消すだけではない!

ところで、先ほどの長時間露光では通行人が消えてしまいましたね。
これは、通行人よりも背景の方が明るい為、明るい方の情報が強く残った為となります。
では、背景よりも明るい被写体が写り込んだ場合はどうなるのでしょう。
カメラは光を記録する機器の為、強い光ほどハッキリ写り込みます。
その為、背景よりも強い光が長時間露光中に写り込んだ場合は、光の残像がはっきりと記録されます。
そこで今度は、私たちの日常生活で撮れる長時間露光を利用した写真の撮り方をサンプル写真を交えてご紹介します。

【車のライト】

車が途中で止まると車体がうっすら写り込んでしまう事があるので、信号が切り替わって車の移動が多い状態の時に撮りましょう。

【イルミネーション】

シャッターを開いている間にレンズをズームするとこのような光がさく裂したような写真が撮れます。被写体が動くのではなくカメラ側が動くという撮り方です。ズームレンズを用意しましょう!

【観覧車】

ものすごい高速回転に見えますね。こんなスピードの観覧車目が回りそうです。
観覧車のイルミネーションは回転中に光り方が何パターンか変わる事があります。
シャッタースピードを速くしたり遅くしたり調整してみると色んな模様が撮れるかもしれませんよ!

【飛行機の軌跡】

※以下作例のみ※

空港で飛行機が飛び立つ軌跡を撮影しました。まるで空の滑走路のようですね。
飛行機はその日の風向きによって滑走路が変わったり、便によって飛び立つ角度、タイミングが異なります。狙ったアングルに軌跡を収めるには根気強く何度も撮る必要があります。その為、予め少し広めの画角で撮影しておいて、撮影後にトリミング出来るようにしておくといいです。シャッターを切るタイミングも、飛び立ってからでは光が空の途中から出てしまうので、飛び立つ少し前を見極めてシャッターを切ると良いですよ!

【移動中の乗り物の車窓から】

乗り物自体が早く動いている時は、あまり長くシャッターを開きすぎてしまうと、乱れた画になってしまうので、長時間といっても2~3秒くらいのシャッタースピードで撮影をすると、綺麗な写り方をします。日中の撮影では2~3秒開くだけでも明るすぎる事があるので、日が暮れるのを待つか、NDフィルターを使うと良いです。ホワイトバランスを2500くらいにして青みがかった色にすると近未来っぽくなりますよ。

おまけ

星のように光の弱い物を撮る時にも長時間露光はとても有効的です。
特に長時間露光で星空を撮るならば、こんな写真が撮れますよ。

【星空インターバル撮影】

この写真は、長時間露光をしながらインターバル撮影という一定間隔で連続撮影をする機能を使って、連続で200枚撮影した後、Photoshopを使って特殊な設定の合成をした写真になります。
1回30秒ずつで撮っても1枚1枚の星の軌跡はとても短いですが、まとめて合成すればこのような星の動きの写真が撮れます。今回はカメラ単体で撮影できる長時間露光のご紹介ですので、タイムラプスや合成の方法等の詳細は省略させていただきますが、星空の撮影は奥が深いので、また次回改めて特集できたらと思います。
※広角レンズで10秒~30秒程のシャッタースピードで撮ればほぼ点の状態の星空も撮れます。

まとめ

今回ご紹介した長時間露光写真のほとんどは三脚を使用して撮影をしました。
三脚を用意するのは少し手間かもしれませんが、長時間露光は記録する光の時間をコントロールする事によって、目の前で見えているもの以上の光景を撮る事ができます。
少し撮り方を工夫するだけこのような写真が撮れるというのもデジタル一眼カメラの魅力ですね。
オート撮影に慣れたら、次のステップとしていろいろな撮影方法を是非お試しください。

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